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透明マントが“実現可能”に

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2008112106&expand

透明マントが“実現可能”に
ハリー・ポッターが使うような透明マントを探し求める旅が新たな段階に入った。あらゆる方向からの光が物体に当たらず、それを避けるように通り過ぎていく。そのように空間を屈曲させる方法が新しい研究で見つかった。
隠れている物体が見えないのは、光との相互作用がないからだという。
この新たな前進の前には大々的に喧伝された透明技術の前進が数多くあり、その一つ一つが魔法のマント、あるいはスタートレックに出てくるような宇宙船の遮蔽装置へと私たちを一歩ずつ確実に近づけている。
しかし、透明化の装置というのはどれほどの現実味があるのだろうか。実現までどのくらい待てばいいのだろうか。何年後、何十年後、あるいは千年も先のことか。そのあたりのことは、この新しい研究論文の著者でさえあまり踏み込んでいない。
「研究者の意欲とこの分野に注ぎ込む資金の問題だと思う」と、シンガポール国立大学の客員教授であるウルフ・レオンハルト氏は言う。
 21日発行の科学誌「Science」に掲載されるレオンハルト氏の最新研究は、新しい種類の透明マントを実現するために必要な光の屈折率の理論的な計算である。
 彼の研究の背後にある科学的知識は新しいものではない。レオンハルト氏は、「水槽の中の魚を見たとき、観察者が判断する魚の位置と実際の位置にはズレがある」と話す。同氏の説明によれば、このような誤認が起こるのは、実際には水によって光が屈折しているにもかかわらず、光が直線的に進んでいると脳が錯覚するからである。
 ガラスにも同じ性質がある。望遠鏡のレンズで物体が近くに見えるのはそのためだ。透明マントではこれと同じ仕組みが再利用されるのだが、もっと高度な方法で行われる。
 この研究は、イギリスはセントアンドリューズ大学のトマス・ティク氏と共同研究で行われた。
 つい2005年前半まで、透明マントの実現は現実味がなかった。最初の研究は単色光のもとでの実現を目指した。その1つはナノテクのプラズモニクス遮断がある。物体を超微粒子で覆い、単色光が反射するのを妨げればその物体を見えなくすることも可能だと唱える研究者もいる。
 2006年には、光を物体の後方に屈折させて見えなくする研究に関心が集まった。しかしながら、対象となる光の波長は可視光よりずっと長いマイクロ波だった。この研究にはレオンハルト氏も参加している。
 その後も様々な研究が進められたが、可視光を3次元で遮断するにはほど遠いのが現実だ。「今回の理論で、透明マントは実現可能に一歩近づいた」とレオンハルト氏は言う。
 デューク大学の工学教授スティーブン・カマー氏は、レオンハルト氏の研究を受けて次のように話している。「氏のチームが成し得た前進に重要性があるのは、以前の遮蔽設計では一度に1色の光にしか対応していなかったからだ。しかし、透明マントはまだ完全ではない。問題の一つは、マントを通り抜けるときに光の位相が変化することにある。つまり、マントを通過するときに光に少し乱が生じる。これでは完全な透明にはならないが、用途によっては意味を成すかもしれない」。
 同研究チームの一員であるノースカロライナ州立大学のディビッド・シューリヒ氏も同じ問題点を指摘し、電子メールの中で次のように述べている。「この宇宙には完全に不可視になるものなど何もない。あらゆる遮蔽方式にはなんらかの欠陥がある」。
 例えば、このマントはものを覆うことができない。そして隠す対象よりもマントは大きくなければならないのである。飛行機を隠そうとする場合にはそのことが問題となる。さらに言えば、レオンハルト氏の計算によれば、マントの形は球状か円柱状でなければならないのである。
「そのような形状は常軌を逸している」と、デューク大学のカマー氏は話す。「この形状のせいで、構築はおそらく困難なものになる。率直に言って、この手法に基づく多色対応のマントよりも、1色にしか対応していない“従来型”のマントが先に実現されることになるだろう。しかし、不完全ではあっても多色対応マントの設計図に価値があることは間違いない」。
 皮肉なことだが、透明技術はまず物を見えにくくすることよりも見えやすくすることに応用されるかもしれない。なぜなら、遮蔽作用を作り出す光の屈折が逆の目的にも利用できるからである。このため、透明技術を利用することで、夜間走行の自転車を視認しやすくする高機能の反射板から、人口衛星のレーダービーコンに至るまで、さまざまな物を作ることが可能となる。あるいは、携帯電話やコンピューターのWi-Fiサーバーのような無線機器からの通信伝達を明瞭化するということも場合によっては可能かもしれない。
# by kaerwonder | 2008-11-25 22:39

音波探知で好みのエサを見つけるシャチ

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=63648543&expand
音波探知で好みのエサを見つけるシャチ
 シャチは、自ら発した音波を利用して好みのエサを遠くからでも特定できるとする研究が新たに発表された。
 カナダ南部のブリティッシュ・コロンビア州からアメリカ西海岸最北部のワシントン州の沿岸に生息するシャチについては、以前からキングサーモン(マスノスケ)を見分ける不思議な能力があることが知られていた。ギンザケやベニザケの方がはるかに数の多い季節にもキングサーモンだけを特定できるという。研究では、シャチの嗜好に音波探知能力が関与していることが示唆された。
 研究チームメンバーでハワイ大学海洋生物学研究所の生体音響学者ウィトロー・オー氏は、「キングサーモンは概してほかのサケより脂肪分が多いのでエサとして好ましいのだろう」と話す。
 シャチ(オルカ)は、ネズミイルカ科の海洋哺乳類やクジラなどと同様に、クリック音と呼ばれる音波を頻繁に発している。クリック音が物質に当たって跳ね返ってきた音を頼りに、濁った水の中でも物の位置を感知して狩りやコミュニケーションを行うことができる。
「この音波を特定の獲物の判別にも利用しているのではないか」と考えたオー氏らは、野生のシャチのクリック音に似せた音波を、キングサーモンを含む3種のサケに当て、それぞれの反響音を測定した。
 その結果、反響音には種別に独特のパターンがあることが判明し、浮袋のサイズや形の違いに由来していることが突き止められた。この研究は今週フロリダ州マイアミで開催されるアメリカ音響学会の年次大会で発表される予定だ。
 浮袋は空気で満たされているので、周囲の体や海水部分とは密度が異なり、エコー画像にもくっきりと示される。「反響音の90%以上は浮袋から跳ね返ってくる。硬い壁に突き当たったような感覚に例えられる」と研究チームメンバーであるワシントン大学のジョン・ホーン氏は説明する。
 キングサーモンはほかの2種に比べて平均的には大きな体つきをしているが、個体別にみれば3種のサケの間には大きさが重複している範囲もある。そのため、シャチは獲物を大きさで判別しているわけではないと研究チームは考えている。同チームは今後も飼育しているシャチを使って検証を続けていくという。
 カナダ太平洋生物研究所でクジラ研究プログラムを率いているジョン・フォード氏は、「この研究によって海洋哺乳類が音波を幅広い用途に利用していることがさらにはっきりした」と評価する。
 同氏によると、同じ北太平洋地域には、エサとして魚よりも海洋哺乳類を好むとみられるシャチの群れもいるという。「このような食生活の違いは文化的なものと考えられる。生まれたときには白紙の状態だが、母親や群れの仲間などからエサの選び方や狩りの手法を学んでいくのだろう」と同氏は考察している。
# by kaerwonder | 2008-11-25 22:38 | 科学

ゲノムに変化をもたらす新たなDNA組換えの抑制機構を解明

http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081118/index.html
ゲノムに変化をもたらす新たなDNA組換えの抑制機構を解明
- 進化をもたらす遺伝情報の多様化と現状維持の分岐を制御 -
ヒトをはじめとする生物は、生命の設計図となっているゲノムを変化させ、発展・進化しながら、繁栄を続けています。この躍動する生命の根幹となっているのは、環境の変化など、さまざまな要因により絶えず起こる遺伝情報の書き換えです。その要因の1つが「DNA組換え」で、新たな遺伝情報を獲得し生存を有利に導こうとします。
 しかし、このDNA組換えには、生命が破滅する危険も伴います。細胞死やがん化、老化などがその代表例です。このため、生物はこの危機を回避するさまざまな機能も備えています。
 放射光科学総合研究センター放射光システム生物学研究グループらは、進化の起源に近いとされている高度好熱菌サーマス・サーモフィラスを活用して、DNA組換え反応の初期の中間体を好んで切断する酵素「MutS2」を同定するとともに、新規のDNA組換え抑制機構を明らかにしました。発見した抑制機構は、遺伝情報を安定化させるもので、生命の進化か危険回避かの生命の重要な選択を制御していると考えられます。
 高度好熱菌は、あらゆる生物に共通したタンパク質を約500種類持っており、これらの機能を解明できると、ヒトを含めた高等生物の生命現象の理解につながり、生命の進化はもとより、病気のリスクの回避などに重要な知見を得ることが期待できます。
# by kaerwonder | 2008-11-25 22:36 | 科学